GBA(ゲームボーイアドバンス)の液晶を「IPS液晶に交換(改造)してみたい!」と考えている方の中には、以下のような不安や悩みを抱えている方も多いと思います。
- 改造キットの種類がいろいろあって、どのモデルを選べば良いかわからない(失敗をしたくない)
- 海外の製品だと説明が不十分で、改造の手順が分かりづらい(一人で改造するのは不安)
そこで本記事では、GBAの液晶を「IPS液晶」に交換する手順を画像付きで解説した上で、改造パーツを海外のサイト(AliExpress)で購入する際の注意点についてまとめてみました。
【本記事を読む上で】
■改造の目的:「32ピン」のGBAの液晶を「IPS液晶」に交換する。画面とシェルの交換は行わない。
■注意点:あくまで電子機器の扱いや改造の素人が行っている作業になりますので、その点についてはご了承ください。また、実際に改造を行う際には自己責任でお願いします。
改造で使用する物品
商品の概要
今回購入した商品はこちらです。
■IPS液晶のスペック
- V4
- ハンダ付け&シェル加工が不要
- タッチセンサーで輝度調整・カラー変更が可能
■購入店
- AliExpress(中国の通販サイト)
- 購入店のリンクはこちら→https://a.aliexpress.com/_mtAvwmy
購入品の内容物
【内容物】
- フレキシブルケーブル×2種(32ピン用/40ピン用)
- タッチセンサー付きの基盤
- IPS液晶パネル
- 画面レンズ
- ポジションスティック×2種
- 両面テープ×2種(液晶とポジションスティックを固定)
- 絶縁シール×2種(大:基盤↔︎本体の基盤/小:液晶↔︎基盤)
- SELECTボタン+L・Rボタンで輝度調整をするためのケーブル×3本(※ハンダが必要)
以上の物品が、プラスチックケースとプチプチに丁寧に梱包されていた上、分解に必要な「プラスドライバー」と「Y字ドライバー」も付属していました。
また、以下のパーツは使用しませんでした。
- フレキシブルケーブル(40ピン用)
- 画面レンズ(画面を交換する方は使用します)
- SELECTボタン+L・Rボタンで輝度調整をするためのケーブル×3本(※ハンダ付けが必要な作業になるため、本記事では使用しません)
改造する際にあると便利な道具
- マイナスドライバー:ケーブルを接続する場所のロックを解除しやすくなる
- 空気砲:画面上の小さなホコリを除去できる(私は風船の空気入れで代用しました)
- 両面テープ:基盤と液晶を固定できる
- ピンセット:絶縁シールや両面テープ、タッチセンサーの貼り付けなどの細かい作業がやりやすくなる
では、改造の詳細手順を紹介します。
『IPS液晶』に交換する詳細手順
①シェルと基盤の分解
↓背面のシェルの「Y字」ネジを6個、「プラス」ネジを1個外します(電池ケースの部分だけ「プラス」ネジ)。
↓シェルを外します。
↓「L・R・電源ボタン」と「サイドパーツ」を取り外し、左右の「プラス」ネジを2個外します。
↓本体の基盤と液晶を繋ぐリボンケーブルを外します。
↓画像のように、赤丸で囲っているロック部分をマイナスドライバーなどで持ち上げます。
↓リボンケーブルを外して、シェルと基盤を分解します。
Tips.32ピンか40ピンか確認できる
↓画像の赤丸で囲ってある数字で「32ピン」か「40ピン」か確認することができます。
↓この段階で通電テストを行うことで、製品に問題ないか確認できます。
※各ケーブルの接続方法については後述する作業を参照ください。
②液晶の交換
↓液晶パネルの裏に「絶縁シール(大)」を貼ります。
※私は液晶パネルをシェルにつけてから絶縁シートを貼ってしまいましたが、貼りづらい上に気泡も入ってしまったため、液晶パネルをシェルに取り付ける前に貼った方が絶対に良いです。
↓クッションを外す→既存の液晶パネルを外します。
※クッションは非常に破けやすいです。また、クッションと液晶パネルは、両方とも強力な粘着テープで張り付いているので、小さなマイナスドライバーなどを使用して、ゆっくり丁寧に剥がしてください。
※画像は、既に一度取り外している状態です。
↓今回は既存の画面レンズをそのまま使用するので、空気砲でレンズ上の細かい埃などを取り除きます。
↓液晶用の「両面テープ」を左上の隅に寄せて貼り付けます(枠が太い方が上側)。
↓液晶用の「両面テープ」の中央部をくり抜き、ポジションスティック用の「両面テープ」を左下の隅に寄せて下部に貼り付けます。
※左側のポジションスティックを先につけてしまいましたが、作業工程に支障はありません。
↓2本のポジションスティックを赤丸の隅に寄せてセットします。
↓赤丸の場所(ポジションスティック)に合わせるように「IPS液晶のパネル」を載せます。
※画像では「絶縁シール」がついていませんが、この作業の前に貼り付けた方が良いです。
③ケーブルとセンサーを接続する
↓茶色のロックをマイナスドライバーなどで上げ、「液晶のリボンケーブル」を「基盤」に接続します。
↓基盤のズレ・ケーブルの外れを防ぐために、基盤を固定する両面テープを貼りました。
↓「カラー変更のタッチセンサー(上側)」を、ピンセットなどを使って赤丸の場所に貼り付けます(両面テープになっています)。
↓「輝度調整のタッチセンサー(下側)」を、ピンセットなどを使って赤丸の場所に貼り付けます(両面テープになっています)。
↓輝度調整のケーブルを以下の画像のように通すことで、シェルを閉じた際の干渉を防ぐことができます。
↓「本体の基盤」に「リボンケーブル(32ピン用)」を挿入し、マイナスドライバーなどを使ってロックをかけます(ケーブルの向きと表裏に注意)。
↓「液晶側の基盤」の黒色のロックをマイナスドライバーでなどで上げ、「本体側のリボンケーブル」と接続します。
↓基盤を覆うように絶縁シール(小)を貼ります。
④シェルを元に戻して作業終了
↓取り外した「クッション」を元に戻します。
↓「本体の基盤」をシェルに収めます。
↓「リボンケーブル」が正規品のモノよりも少し長かかったため(個体差がある可能性あり)、シェルの隙間に収まるようにゆっくり曲げていきます。
↓ネジを締める前に、通電テストを行いました。
↓左右の「プラス」ネジを締め、「L・R・電源ボタン」、「サイドパーツ」を装着します。
※「プラス」ネジを強く締めすぎると、基盤が歪む可能性があります。逆に弱すぎるとシェルが閉じなくなります。
↓最後に、背面のシェルの「Y字」ネジを6個、「プラス」ネジを1個締めて完了です。
⑤動作確認(画面出力・タッチセンサーの確認)
↓シェルの右下部をタッチすると輝度調整(9段階)ができます。
サンプル
↓シェルの上部(Nintendoのロゴ)をタッチするとカラー変更(8色)ができます。
サンプル
※デフォルト
改造パーツ購入における注意点(AliExpress)
画像だけで判断してはいけない
最初にIPS液晶の改造パーツを購入した際、商品画像(カートに入れる際の画像)に掲載されていたモデルと違うモデルが届いたことがあります。
↓商品画像(カートに入れる際の画像)では、液晶に出力するリボンケーブルが以下の画像のモデルでした。
↓しかし、実際に届いた商品は、液晶に出力するリボンケーブルに電源供給が必要なモデルでした(画像は別の店舗のモノです)。
YouTubeでいくつかの改造動画を確認して、その中で最も簡単に改造できるモデルを選んだつもりでしたが、まさかの電池を入れる場所にケーブルを巻き付けて電源を供給するモデル(古いモデル?)でした。
商品自体に不備があったわけではありませんが、結局接続が不安定になってしまい、映像の出力ができなくなってしまいました。
商品の「トップページの画像」は最新モデルを掲載しており、「カートに入れる商品を選ぶ際の画像」は古いモデルという店舗はいくつもあります。
そのような掲載の仕方をしている店舗はまだ良心的な方で、今回の店舗は「トップページの画像」と同じモデルが「カートに入れる商品を選ぶ際の画像」にも使われていました。
購入する商品を【画像だけで判断するのはリスクが高い】ということを身をもって経験しました。
少なくとも販売実績と評価を参考に…
画像だけで判断せず、【販売実績(注文数)と評価】をしっかり確認した方が良いです。
■異なるモデルが届いた店舗(2022年7月時点)
- 販売実績:0個
- 評価:なし
- 到着までの時間:約1ヶ月
■今回購入した店舗(2022年8月時点)
- 販売実績:約500個
- 評価:4.6
- 到着までの時間:約1週間
「最初から下の店舗で買えばよかったじゃん。」
と思う方もいると思いますが、当初は検索に出てこなかったんです…。あったとしても、探していたモデルでなかったので、目に入らなかったのかもしれません。
(話を戻して)
商品説明やレビューについては、翻訳があまり正確ではないため非常にわかりづらいです。
したがって、
- 販売実績
- 評価
の2点から判断するしかありません。
また、商品説明欄に改造の手順を記載している店舗と、特に記載のない店舗があります。
AliExpressで改造パーツを購入する際には、販売している店舗を複数ピックアップして、必ず販売実績と評価、商品の説明欄をよく確認して選ぶと良いでしょう。
最後に
最近のIPS液晶化の改造パーツは、はんだ付けやシェル加工がいらないため改造初心者の方でも手を出しやすいです。
しかし、海外の販売サイト(AliExpressなど)で購入する場合は、商品が届くまで「頼んだ商品が届くかわからない」というリスクを抱える必要がある点は抑えておかなければいけません。
IPS液晶化の改造パーツは約5,000〜6,000円もかかるので、価格とリスクを天秤にかけた上で判断するのが良いでしょう。
とはいえ、GBAのIPS液晶化は【GBA世代の人にとっては感動を覚えるレベルで満足度の高い改造】です。
もしも、「GBAをIPS液晶化してレトロゲームを久しぶりにプレイしたい!」と考えていましたら、本記事の内容を参考にしていただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!