この記事では、SES企業について就職経験者が解説していきます。
筆者は、実際にSES企業に就職した経験に加え、プロパー社員としてSESの社員を迎えた経験があります。
実際の事業内容や契約、単価事情などについて現場レベルで解説していきます。
これからSES企業へ就職を検討している方や、現在SESに関わっているものの実態がわからない方にとって参考になれば幸いです。
SESの概要
SESとは、システムエンジニアリングサービスの略称であり、クライアント企業のシステム関連業務(システム開発、保守・運用など)に対して、エンジニアによる技術提供を行うビジネスモデルのことを指します。
日本は、IT人材不足が深刻だったり、大企業が社内エンジニアを抱えることが少ないため、需要が高いサービスといえます。
SESでの働き方
SES事業に従事する場合、プロジェクトによって異なりますが、大半がクライアント先での勤務となります。
業務内容によっては、クライアント先以外での勤務やテレワークも可能です。
また、プロジェクトによっては長期的に勤務する場合もありますが、プロジェクトが終了した後は、次のプロジェクトに参加するか、自社内での業務に移ることもあります。
参画プロジェクトがない期間はどうなる?
会社が持ち帰り案件(自社内での請負案件など)を抱えている場合は、それらに参画することが多いです。
スキルアップのための研修期間となることもあります。
なお、完全な待機状態になったとしても、一般的には給料が支給されます。
SES社員の契約について
SES企業の従業員(エンジニア)は、その企業の正社員として採用されます。
※契約社員やアルバイトで採用する企業もあります。
クライアントの案件に参画する際は、クライアント先に対して一定期間の派遣社員として契約することになります。
派遣社員であるため、契約が更新されない場合、クライアント先での業務は終了となります。
以下に、労働時間や給料についてまとめます。
労働時間
クライアント先の出勤・退勤時間に合わせることが多いです。
残業については、双方の契約次第となり「月に何時間までは残業させることができるか」を事前に取り決めます。
契約時の残業時間を超える場合、クライアントはSES事業者へ超過料金を支払うことになります。
一般的には契約の上限が超えないようにクライアント側のプロパーが勤務時間を調整します。
給料および契約金
SES事業では、派遣するエンジニア1人あたりの月単価をクライアントと交渉し、金額を確定します。
※金額は営業同士で交渉します。エンジニア本人は、契約単価を知ることはできません(知られると都合が悪いため)。
エンジニア本人の給料はSES企業に採用される時点で決まります。
なお、契約単価と給料の差分がSES企業の利益となります。
そのため、エンジニアの給料が契約単価と同等、あるいは近い金額になることはありません。
エンジニアが給与を上げるためには、クライアント先で成果を出して、契約単価を上げる必要があります。
契約は営業同士の交渉で進むため、エンジニア本人が単価アップしたことすら知らないパターンもあります。
月単価はエンジニアの能力によって大体決まってきます。
私の会社員時代の感覚だと、経験が浅い人で50万円、自立して仕事できる人で70万円くらいの価格感でした。
エンジニア本人の給料は、上記の月単価の半分くらいのケースが多かったので、マージンの割合が大きいなと感じていました。
SES企業に就職するメリット・デメリット
メリット
①未経験者が参入できる
プログラマー、システムエンジニアを目指している方が、SES企業へ就職するパターンは非常に多いです。
SES企業は、未経験者を採用し、自社研修を通してIT人材を育成する仕組みを持っています。
※実際に筆者もプログラミング未経験の状態からSES企業へ就職して、IT業界へ入りました。
本来、システム開発のスキルは研修のみで習得することは難しく、実際の開発現場でしか養えないスキルもあります。
研修をしただけの人材を技術提供として派遣するのは、疑問の残るところではありますが、日本では深刻な人材不足により成立します。
SES企業の存在のおかげで、未経験者が業界に参入できる事実もあります。
②様々な案件に参画できる
SES企業の社員でいる間、いくつかのクライアント先へ派遣されることになります。
様々なプロジェクトに参画して、幅広いスキルを習得することに繋がります。
また、ツールや開発手法が異なる場合、それらも学ぶチャンスがあります。
③環境をリセットできる
クライアント先での人間関係がうまくいかなかった場合などに、営業に相談して派遣先を変えたりすることが可能です。
自社開発の企業に就職して性格が合わない上司がいる場合は、転職しないと環境を変えることが難しいため、SESの大きなメリットではないかと思います。
デメリット
①プロジェクト先が不安定
様々なクライアント先でのプロジェクトを経験できる一方で、居場所が安定しないため、人や環境の変化が激しいともいえます。
せっかく自分に合った現場にいても、契約が終了してしまうことも多々あります。
※転居を伴うプロジェクト変更の場合は、必ず会社から相談があるはずで、強制されることはないでしょう。
②クライアント先での立場が弱いと感じてしまう
契約上、クライアント側がお金を払って技術提供を受けているということになるため、SESエンジニアは指示に忠実である必要があります。
時には無理な要求や、残業上限ギリギリの労働を強いられることもあります。
そういった場合に、嫌だなという意思表示が難しいと感じることがあるでしょう。
また、現場のプロパーとの間に上下関係があることを対して、ストレスを感じることがあるかもしれません。
まとめ
SES事業は、日本では非常に需要があるビジネスモデルです。
SES企業に就職することでスキルアップやキャリアアップが期待できますが、プロジェクトの継続性が不安定であることなど、注意すべき点もあります。
この記事が参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。