HIITで肉体改造!エネルギー供給の仕組みを理解して効果を上げる!

YouTubeやSNS、書籍などで世間に浸透している『HIIT(高強度間欠的運動)』ですが、短時間で心肺機能や筋持久力を鍛えることができるトレーニングとして多くの人が取り組んでいると思います。

そんな日々HIITを取り組んでいる人の中には、

「HIITのレベルを上げて、もっと体を鍛えたい!」

と考えている方はいるのではないでしょうか。

また、もっと疲れにくい体を目指すために、今後もHIITを続けていきたいという方も多いと思います。

本記事では、HIITの効果を高めるために知っておきたい、HIITの間に体の中で起きている『エネルギー供給』の仕組みについて解説していきます。

HIITにおけるエネルギー供給の仕組みを理解することで、皆さんが今取り組んでいるHIITの効果を上げて、更なる身体機能UPが期待できると思います。

なぜ短時間で心肺機能と筋持久力を鍛えることができるのか?

たった4分で終わる『タバタ式トレーニング』を始め、なぜHIITは短時間で終わるにも関わらず心肺機能や筋持久力を同時に鍛えることができるのでしょうか?

その理由は、HIIT中に『有酸素性エネルギー供給機構』と『無酸素性エネルギー供給機構』の両方のエンジンを最大限働かせることができるからです。

【参照:田畑泉(2015年). 究極の科学的肉体改造メソッド タバタ式トレーニング (株)扶桑社】】

HIIT中に働く2つのエネルギー供給システム

HIIT中に働いている『有酸素性エネルギー供給機構』と『無酸素性エネルギー供給機構』とは、それぞれエネルギー源の異なるエネルギー供給システム(エンジン)のことです。

有酸素性エネルギー供給機構は、外から取り込んだ『酸素』を主なエネルギー源として体を動かすシステムのことで、ウォーキングやランニングなど『心肺持久力が必要な運動』におけるメインエンジンになります。

したがって、有酸素性エネルギー供給機構を働かせたトレーニングを行えば、心肺機能を鍛えることができます。

無酸素性エネルギー供給機構は、体内に存在する『グリコーゲン』や『クレアチン』といった物質を主なエネルギー源として体を動かすシステムのことで、腕立て伏せやバーベルを使ったトレーニングなど『瞬発的に筋肉の力を発揮する、または発揮し続ける運動』におけるメインエンジンになります。

したがって、無酸素性エネルギー供給機構を働かせたトレーニングを行えば、筋力や筋持久力を鍛えることができます。

HIITでは、そんな有酸素性エネルギー供給機構と無酸素性エネルギー供給機構を両方同時に働かせることができるという訳です。

短時間の運動と休憩によって変化するエネルギー供給の仕組み

では、HIITの間に有酸素性エネルギー供給機構と無酸素性エネルギー供給機構はどのように働いているのでしょうか?

両方のエンジンが常に一定のエネルギー供給を行なっているのかというと、そうではありません。

HIITの開始直後は、無酸素性エネルギー供給機構がメインエンジンとなって体を動かしており、徐々に有酸素性エネルギー供給機構をメインエンジンとして体を動かすといった流れで、トレーニング中にエネルギー供給の方法が変化しています。

【参照:田畑泉(2015年). 究極の科学的肉体改造メソッド タバタ式トレーニング (株)扶桑社】

20秒の全力運動と10秒の休憩を繰り返す『タバタ式トレーニング』を例に、HIIT中のエネルギー供給の変化について具体的に解説します。

タバタ式では、トレーニング開始直後から20秒間『全力』で動きます。

トレーニング開始直後に全力運動をしようとしても、『酸素』によるエネルギー供給だけでは間に合わないため、体内のグリコーゲンやクリアチンを使ってエネルギー不足を補うことで全力運動を可能にしています。

つまり、トレーニング開始直後の全力運動では、有酸素性エネルギー供給機構だけではエネルギーの供給が間に合わないため、無酸素性エネルギー供給機構のエンジンもONにしてエネルギー不足を補っているという訳です。

このように、酸素の供給だけでは間に合わないトレーニング前半では『無酸素性エネルギー供給機構がメインエンジン』となって体を動かしているため、無酸素性運動としての比重が大きくなります。

また、20秒の全力運動の後の『10秒の休憩』では、無酸素性エネルギー供給機構が消費したエネルギーの一部を『酸素』を取り込んで補充しています。

しかし、わずか10秒の補充では、20秒で消費した無酸素性エネルギー供給機構のエネルギー量を補充し切れません。

この後に繰り返される、20秒-10秒のインターバルの中で少しずつ補充していくことになります。

そして、トレーニングの後半になるにしたがって、酸素の供給がエネルギー消費に追いつき、有酸素性エネルギー供給機構がメインエンジンとなって体が動けるようになっていきます。

以上のエネルギー供給の変化をまとめると以下の通りになります。

HIIT中のエネルギー供給の仕組みと変化

  1. トレーニング開始直後は『無酸素性エネルギー供給機構』がメインエンジンとなって、主に無酸素性運動として体を動かす(※最初の全力運動が、HIIT中で最も無酸素性エネルギー供給機構を刺激している)
  2. 短時間の休憩で酸素を取り込み、『無酸素性エネルギー供給機構』で消費したエネルギーを少しずつ補充する
  3. トレーニング後半になるにつれて酸素を取り込む量が増加し、徐々に『有酸素性エネルギー供給機構』がメインエンジンとなる有酸素性運動に移行する
  4. 最後の全力運動が、HIIT中で最も有酸素性エネルギー供給機構を刺激している

このように、トレーニング開始直後は『無酸素性運動』として体を動かし、最後には『有酸素性運動』として体を動かす、というエネルギー供給の変化がHIITの間に起きているため、HIITでは心肺機能と筋持久力を両方同時に鍛えることができる訳です。

この仕組みを理解した上で、普段のHIITで両方のエネルギー供給システムを最大限刺激できているかどうか振り返ってみてください。

トレーニングの前半では『息が詰まるような状態』で体を動かし、後半では『呼吸が荒い状態』で体を動かすことができていれば、有酸素性エネルギー供給機構と無酸素性エネルギー供給機構の両方のエンジンを刺激できていると思います。

このエネルギー供給の仕組みを基準に、普段のHIITの負荷を上げるべきなのか下げるべきなのか、それともHIITの種類を変えるべきなのかを判断して、HIITのレベルを調整してみてはいかがでしょうか。

もっと筋肉を大きくしたい!疲れにくい体が欲しい!という人は…

HIITを続けている方の中には、

「HIITでもっと筋肉を大きくしたい。」

という方がいるのではないでしょうか?

また、もっと疲れにくい体をつくりたいとストイックに考えている方もいると思います。

そんな方は、HIITと筋トレを組み合わせてみてください。

HIITと筋トレを組み合わせることで、HIIT中の『無酸素性エネルギー供給機構によるエネルギー供給量』が高まり、HIITによる筋肉量の増加を見込めるようです。

【参照:田畑泉(2015年). 究極の科学的肉体改造メソッド タバタ式トレーニング (株)扶桑社】

では、HIITで筋肉量を増やしたり、疲れにくい体をつくるのにオススメな筋トレを紹介します。

HIITと組み合わせるオススメの筋トレ

オススメの筋トレは、5種目の『パレオダイエット式筋トレ』です。

パレオダイエット式筋トレ(5種目)

  1. スクワット
  2. プッシュアップ
  3. ダンベルロウ
  4. リバースランジ
  5. オーバーヘッドプレス

【引用:鈴木祐(2019年). 新装版 一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書 (株)扶桑社】

パレオダイエット式筋トレは、『狩猟採集民』のライフスタイルを参考にした5種目で構成されており、全身の筋肉をバランスよく鍛えることができます。

それぞれの種目で鍛えられる動作や筋肉は以下の通りです。

  1. スクワット→両脚でしゃがんだり立ち上がったりするのに必要な下半身の筋肉
  2. プッシュアップ→モノを前に押すのに必要な上半身の筋肉、体幹を安定させる筋肉
  3. ダンベルロウ→モノを下から引き上げるのに必要な上半身の筋肉
  4. リバースランジ→片脚でしゃがんだり立ち上がったりするのに必要な下半身の筋肉
  5. オーバーヘッドプレス→モノを上に持ち上げるのに必要な上半身の筋肉

スクワット、プッシュアップ、リバースランジは自重で、ダンベルロウとオーバーヘッドプレスは余裕のある重さのダンベルを使用して、8〜12回×1〜3セット(休憩1〜2分)から始めてみてください(キツければ回数やセット数を減らしてOK)。

慣れてきたら回数やセット数、重さを増やして、徐々に負荷を上げていきましょう。

パレオダイエット式筋トレで鍛えることができる動作や筋肉は、どれも日常生活に必要なモノです。

HIITによる筋肉量の増加効果も含めて、日常生活のパフォーマンス自体が上がることで『体の疲れにくさ』を実感できると思います。

HIITと筋トレを組み合わせる際のプログラム設計

HIITと筋トレを組み合わせると、体の疲労が溜まりやすくなります。

したがって、しっかり休養日をつくった上でプログラム設計することが大切です。

HIITは週に2〜3回行うことで、トレーニング効果を十分得ることができると言われています(詳細は以下の記事を参照ください)。

HIIT初心者が『効果的なトレーニングメニュー』を選ぶ&作るポイント解説

また、ブルーリッジ病院のマクガフ博士の発表した研究では、『週に12分筋トレするだけで筋肉は十分発達する』と言われています。

【参照:鈴木祐(2019年). 新装版 一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書 (株)扶桑社】

『1セッション6分の筋トレを週に2回』『1セッション12分の筋トレを週に1回』といった感じで、1週間の筋トレスケジュールを立ててみてください。

以上のように、週に2〜3回のHIITと最低12分のパレオダイエット式筋トレを休養日をつくった上で取り入れ、『筋肉量アップ』と『疲れにくい体』を目指してみてはいかがでしょうか。

最後に

HIITのやり方やメニューは、YouTubeを始め多くの媒体で出回っています。

ですが、トレーニングの『方法』だけでなくトレーニングの『原理』を理解しておくことで、今行なっているトレーニングの効果をさらに高めることができます。

本記事では、HIITの原理として『エネルギー供給の仕組み』を中心に解説しました。

参考になったという方は、普段行っているHIITを『エネルギー供給の仕組み』の観点から見直してみてはいかがでしょうか。

負荷を上げるべきなのか、今のまま続けていけば良いのか、理論的に判断できると思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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