ダイエットを始めたのは良いものの、
「数日経つと食欲に負けて我慢できず食べてしまう…。」
「カロリー制限と運動をしてるのに、締まった体にならない…。」
このような悩みを抱えたことはありませんか?
そんな我慢できない食欲や締まった体にならない状況は『寝不足』をなくすことで解決できるかもしれません。
本記事では、寝不足がダイエットの失敗につながる3つの原因について解説していきます。
せっかくのダイエットの努力が無駄にならないよう、睡眠とダイエットの関係について理解を深めていただけたら幸いです。
①寝不足は脂肪は溜め込み筋肉を落とす
「脂肪を落として筋肉をつけた状態で痩せたい!」
そんなダイエットの理想像に対して寝不足は天敵のようです。
ある実験で、肥満の男女を対象に5時間半睡眠のグループと8時間半睡眠のグループに分け、2週間の厳格なカロリー制限のもとダイエットを行いました。
その実験の結果は以下の通りです。
- どちらのグループも体重は減った
- 5時間半睡眠のグループは、落ちた体重の70%が筋肉だった
- 8時間半睡眠のグループは、落ちた体重の50%以上が脂肪だった
【引用:マシュー・ウォーカー(2018年). 睡眠こそ最強の解決策である (株)SBクリエイティブ】
つまり、同じ減量方法を用いたとしても、寝不足の体が体重を減らそうとすると、脂肪を溜め込み筋肉を落としてしまうようです。
いくら痩せれたとしても、減量分の70%が筋肉では『たるんだ体』になってしまいますよね。
確かに、減量中はカロリー制限によってどうしても筋肉は落ちてしまいますが、睡眠をしっかりとることで、減量中に落ちてしまう筋肉を最小限に抑えることができるようです。
『たるんだ体』ではなく『締まった体』をダイエットで目指したい方は、寝不足をなるべく減らしていきたいですね。
②寝不足は食欲を暴走させる
「いくら食べてもお腹がいっぱいにならない…。」
そんな底なしの食欲はいったいどこから湧いてくるのでしょうか?
私たちの食欲は、レプチンとグレリンという2つのホルモンによってコントロールされています。
レプチンは私たちに『満腹感』を感じさせ、グレリンは『空腹感』を感じさせています。
ご飯を食べればレプチンの分泌が増えてお腹がいっぱいになり、体がエネルギーを欲すればグレリンが増えてお腹が空く、といった具合です。
そんなレプチンとグレリンのバランスが寝不足によって崩れてしまうようです。
睡眠時間が4〜5時間まで減ると、満腹ホルモンのレプチンの分泌が減り、空腹ホルモンのグレリンの分泌が増えてしまいます。
【参考:マシュー・ウォーカー(2018年). 睡眠こそ最強の解決策である (株)SBクリエイティブ】
つまり、寝不足によってホルモンバランスが崩れた結果、いくら食べてもお腹がいっぱいにならない上、お腹は空きっぱなしというダブルパンチが私たちの食欲を暴走させてしまうのです。
加えて、寝不足はエンドカンナビノイド(=内因性カンナビノイド)という『食欲を増やす』脳内物質の分泌も促します。
これでは食べても食べてもお腹がいっぱいになる訳がないですよね。
食欲が止まらなくて悩んでいる方、ダイエット中の食欲を抑えたい方は、寝不足を解消しておくことで摂取カロリーのコントロールがしやすくなるかもしれません。
③寝不足はジャンクフードを求める
食べない方が良いのはわかってるのに、ついつい手を伸ばしてしまうジャンクフード。
それは皆さんの意思が弱いからではなく、脳が誤作動を起こしているからかもしれません。
「ダイエットのために加工食品は食べないぞ!」
という皆さんの強い意思は、寝不足によって簡単に無視されてしまいます。
私たちの意思決定は、脳の前頭前皮質という部位がその機能を司っています。
寝不足はそんな前頭前皮質の活動を鈍くしてしまい、それによって私たちは正しい判断ができなくなり衝動のコントールができなくなります。
「ダメ!」とわかってるのにも関わらず高カロリーの食事を求めてしまうのは、脳が誤作動を起こしているからなんですね。
「なんで我慢できないんだろう…。」
と自分自身の意思力を責める必要はありません。
もしジャンクフードなどの加工食品を避けた方が良いとわかっているのであれば、寝不足を改善することでダイエットに必要な正しい判断と衝動のコントールができるようになると思います。
最後に
寝不足がダイエットの失敗につながる原因について解説してきましたが、他にも寝不足は以下のような悪影響を私たちに与えます。
- 糖を吸収する能力が低下する
- ストレスホルモンが増加して腸内環境が悪化する
- 活力がなくなり、日中の消費カロリーが減少する
ダイエットに対して睡眠時間が与える影響はとても大きく、特に、食欲の暴走や脂肪の溜め込みといった、私たちの意思ではコントロールできない範囲に影響を与えるので非常に厄介です。
実験のように8時間程度の睡眠を確保するのがダイエットにとってはベストのようですが、明日から急に睡眠時間を数時間増やすのは難しいと思います。
寝不足のデメリットを踏まえた上で、皆さんのライフスタイルに合わせたベターな睡眠時間を確保できると良いですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
【本記事の参考文献】
睡眠こそ最強の解決策である [ Matthew Walker ]