YouTubeでは『HIITで脂肪燃焼!』『激痩せ!HIIT』というサムネイルでお馴染みになってきているHIIT。
「本当にHIITってダイエットに効くの?」
「HIITをやるだけで脂肪は燃えるの?」
そんな疑問を抱いたことはありませんか?
HIITは非常に優秀なトレーニングですが、『激痩せ!』『脂肪燃焼!』というワードだけが一人歩きするとHIIT本来の効果が得られなくなる上、ダイエットにも応用できなくなります。
せっかく時間と体力を消費してHIITを実践するなら、HIITの基礎知識をしっかり理解した上で効果を得たいですよね。
本記事では、HIITのことをあまりよく知らない方やHIITを始めたばかりの方に向けて、HIITの効果を最大限発揮するための基礎知識を解説していきたいと思います。
HIITとはどのようなトレーニング?
簡単に説明すると『短時間で身体機能と脳の機能を高めることができる最強のトレーニング方法』です。
HIITは短時間の運動と休憩を繰り返すインターバルトレーニングの一種で、心肺機能(スタミナ)や筋力(パワー)といった身体機能の向上に加えて、集中力や記憶力、独創的なアイデアや解決策を思いつく能力といった脳機能を高めことができることも確認されています。
そんなHIITの中で最も有名なのが「タバタ式トレーニング」です。
タバタ式トレーニングとは、20秒の運動と10秒の休憩を6〜8セット(合計約4分)繰り返す方法です。
このトレーニングの重要なポイントは『20秒間で高強度な運動を実施する』という点です。
高強度な運動とは、HIITの後に「呼吸が激しくて会話ができない」「足がもう動かない」といった疲労困憊の状態になるレベルの運動のことで、運動後の心拍数の目安は「最大心拍数(220 から今の年齢を引いた数字)の90%前後」になります。
「HIITってそんなにハードなトレーニングなの?」
と思うかもしれませんが、疲労困憊レベルまで追い込まないとHIITではなくただの短時間の有酸素性運動になってしまうのです。
そうするとHIITの効果を最大限まで引き出すことができません。
疲労困憊まで追い込んでこそHIITは効果を発揮する
HIITの1つ『タバタ式トレーニング』の考案者である田畑泉教授(立命館大学スポーツ健康科学部教授)によれば、HIIT(タバタ式トレーニング)のことを以下のように説明しています。
疲労困憊、バテバテになるまで自分を追い込む高強度の運動を10秒の休憩を挟んで20秒間、6〜8セットやるという短時間かつ間欠的なトレーニングにより、この究極の有酸素性トレーニングと究極の無酸素性トレーニングが実現します。
【引用元:田畑泉(2019年). 世界で主流の、日本に逆輸入された肉体改造メソッド 噂のタバタトレーニング (株)扶桑社】
つまり、疲労困憊レベルまで追い込むからこそ、短い時間にも関わらず心肺機能(スタミナ)や筋力(パワー)の両方を鍛えることができるのです。
とは言え、アスリートではない一般の方がいきなり疲労困憊レベル(最大心拍数の90%)まで追い込むのは無理ですし、ケガのリスクも伴います。
まずは全力でダッシュをしたり、全力で自転車をこぐといったシンプルな種目で最大心拍数(220 から今の年齢を引いた数字)の70%前後を目指しましょう。
または、トレーナーに身体機能を評価してもらった上で指導してもらっても良いと思います。
HIITに慣れないうちは無理のない範囲から始めましょう。
全力運動中に大きな姿勢の崩れがなくなってきたり、動作中の体幹の安定性を確保できるようになってきたら、徐々にセット数を増やしたり運動レベルを上げて疲労困憊レベルまで追い込んでいきましょう。
HIITにダイエット効果はあるのか?
ダイエット効果があれば、キツイHIITを続けていこうというモチベーションが保てそうですよね。
私自身も痩せたいと思ってHIITを始めましたし、YouTubeやSNS上でも『激痩せ!』『脂肪燃焼!』というワードによって、HIIT=痩せるためのトレーニングという認識が広まっているように感じます。
実際に書籍なネット上でもHIITで痩せたという体験談は少なくありません(私もそのうちの1人です)。
そこで、ダイエット効果を得られるHIITを実践できるようにHIITの本質を簡単に解説したいと思います。
HIITの本質は『痩せることではない』
『タバタ式トレーニング』の考案者である田畑教授は、HIIT(タバタ式トレーニング)のダイエット効果に対して以下のように述べています。
タバタトレーニングを実践した人で、体重が減った人は確かにいます。
しかし、そもそもタバタトレーニングは短時間で済むものなので、脂肪はそれほど燃焼しません。
そのため、「タバタトレーニングで脂肪が減った」というエビデンスはないというのが現実です。
タバタトレーニングはあくまでも「最大酸素摂取量(※1)や最大酸素借(※2)を高めることで身体機能を高める」ことを可能にするトレーニングです。
その結果日々の生活が活発になり、副次的に痩せることはあるかもしれませんが、それはあくまで「元気になったことでよく動くようになった」結果なのです。
【引用元:田畑泉(2015年). 究極の科学的肉体改造メソッド タバタ式トレーニング (株)扶桑社】
※1:最大酸素摂取量→心肺機能(スタミナ)
※2:最大酸素借→筋力(パワー)
つまり、“HIIT(タバタ式トレーニング)だけ”で痩せることはできないという訳です。
HIITの本質は、短時間で心肺機能(スタミナ)や筋力(パワー)を鍛えることにあります。
そもそもHIITは、スポーツ選手が競技のパフォーマンスを高めるために使われていたトレーニング手法でした。
しかし、欧米で一般人のボディメイクを目的にHIITが流行したのをきっかけに、今では『HIITで脂肪燃焼!』『激痩せ!HIIT』という言葉ともに世間に認知されるようになりました。
では、HIITの本質を踏まえた上で、私たち一般人がHIITを運動習慣に取り入れる目的とは何でしょうか。
それは、歩いたり、階段を登ったり、家事をしたりといった日常生活における活動、つまり私たちが1日で最も消費しているカロリーである『NEAT(運動以外の日常生活動作で消費するカロリー)』を消費する活動を、より活発に行えるようになることにあります。
NEATについて詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。
HIITによって動きやすくなった体でNEATを消費する活動を増やすことで、日々の消費カロリーを大きく増やすことができるでしょう。
したがって、ダイエットのためにHIITを取り入れるのであれば、まずはライフスタイルを見直し『消費カロリーが摂取カロリーが上回る状態』をつくった上でHIITを実践していきましょう。
最後に
冒頭で申し上げたように、HIITは身体機能を高めるだけでなく、集中力や記憶力、独創的なアイデアや解決策を思いつく能力といった脳機能を高めることができます。
以前はダイエットのためだけにHIITを始めた私でしたが、今では体型維持はもちろん、仕事や読書、ビジネスのアイデアづくりといった『集中力や創造性が求められる作業』のクオリティを高めるためにHIITを継続しています。
実際、本を読むスピードが上がったり、長時間読書を続けられたり、アイデアを思いつきやすくなったりと、HIITの脳機能を高める効果を実感しています。
皆さんもダイエットのためだけでなく、今よりも人生を豊かにするHIITの素晴らしい効果を実感してみたいとは思いませんか?
本記事を通して、HIITがどのようなトレーニングなのか理解していただけたら嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
【本記事の参考文献】
タバタ式トレーニング 究極の科学的肉体改造メソッド [ 田畑泉 ]