今まで運動をしていなかったという方の中には、
「ダイエットのために運動を始めたいけど、どんな運動から始めれば良いかわからない。」
という悩みを持っている方がいるのではないでしょうか。
また、ダイエットのために運動や筋トレを始めてみたけど、
「継続できなかった。」
という方も多いと思います。
今回は、『運動初心者』の方にぜひ取り組んでいただきたい『ウォーキング』のダイエット効果について解説していきます。
せっかくダイエットを始めたのに、ウォーキングの隠されたダイエットの効果を知らずに損をしている方もいると思います。
ウォーキングのダイエット効果を理解することで、『運動を継続できる』可能性が高くなる上、『下っ腹の脂肪』も落としやすくなるので、ぜひ最後までご覧ください。
運動初心者がウォーキングから始めるべき理由
これまで運動をしてこなかったという方が、運動を続けるというのは本当に大変なことだと思います。
実際、運動を習慣化しようとした人の約50%は6ヶ月〜1年以内に運動をやめてしまうようです。
その理由は、いきなりハードな運動から始めてしまうからです。
【参照:ジョンJ・レイティ/エリック・ヘイガーマン(2014)『脳を鍛えるには運動しかない!最新科学でわかった脳細胞の増やし方』NHK出版】
いきなりハードな運動から始めて、
「きつい…。」
「できない…。」
「面倒くさい…。」
といった感じで、運動のモチベーションが下がってしまうという経験をしたことはないでしょうか。
運動を続けていく上で重要なのは『モチベーションに頼らない非常に簡単な運動から始める』ということです。
そこでオススメなのが『ウォーキング』です。
ウォーキングであれば、動きやすい服装を準備して日焼け止めクリームを塗ればすぐに始められますよね。
ジムに通う前後の時間やトレーニング器具は一切必要ありませんし、特別な運動スキルも必要ありません。
この記事を読まれている方は、
「運動を始めよう!」
というモチベーションを既にお持ちの方だと思うので、ウォーキングの時間をつくることなんて簡単ではないでしょうか。
さらに、ウォーキングを続けていけば、心肺機能をはじめとした運動機能も強化されていくので、歩ける距離もどんどん長くなり、体が運動することに慣れていくでしょう。
運動初心者の方こそ、運動を継続して基礎体力をつくるためにウォーキングから始めてみてください。
下っ腹の脂肪を落とす『ウォーキングとプチ断食』のコンボ
ダイエットを始めたのに『下っ腹の脂肪が全然減らない』ことに悩んでいる方は多いと思います。
目に見えたダイエットの結果がなかなか出ずに、ダイエットのモチベーションが続かないという方もいるのではないでしょうか。
実際、下っ腹の脂肪は『燃えづらい』特性を持っているため、その特性を理解しておかないと下っ腹の脂肪を落とすのは難しいです。
下っ腹の脂肪が燃えにくい理由は以下の通りです。
下っ腹の脂肪が落ちにくいのは、血行が悪いからです。下っ腹はもともと血流が悪く、脂肪が燃えづらい場所なのです。アドレナリンのレセプター(受け皿)も少ないため、脂肪を溶かすホルモンであるHSL(ホルモン感受性リパーゼ)が活性化しづらいということもあります。
【引用:メンタリストDaiGo(2019)『最高のパフォーマンスを実現する超健康法』(株)PHP研究所】
つまり、下っ腹の脂肪を落とすため、
- アドレナリン(やドーパミン)の分泌を促す
- 血流を良くして、下っ腹の脂肪を燃やすHSLを活性化させる
- 脂肪をエネルギー源とする活動を行う
といった3つのポイント押さえておく必要があります。
では、それぞれのポイントについて具体的に解説します。
①プチ断食でアドレナリンの分泌を促す
下っ腹の脂肪を燃やすHSL(脂肪を溶かすホルモン)を活性化させるには、アドレナリンやドーパミンといった、体を興奮させる物質の分泌を促す必要があります。
そのアドレナリンやドーパミンの分泌を意図的に促す方法が『プチ断食』です。
プチ断食とは、12〜16時間の断食時間を作ることで一時的に体を飢餓状態にする食事法になります(詳細は以下の記事を参照ください)。
プチ断食によって体が飢餓状態になると、私たちの体は一時的にエネルギー不足に陥ります。
すると、アドレナリンやドーパミンが分泌されて、体内に残っているエネルギー源でエネルギー不足を補おうとします。
【参照:メンタリストDaiGo(2019)『最高のパフォーマンスを実現する超健康法』(株)PHP研究所】
つまり、プチ断食で意図的にエネルギー不足を起こすことで、アドレナリンやドーパミンが分泌されて、体内に残る下っ腹の脂肪を燃やしてエネルギー不足を補おうとする訳です。
②ウォーキングで血流を上げて脂肪を溶かすホルモンを活性化
プチ断食によってアドレナリンやドーパミンが分泌されたら、血流を良くしてアドレナリンやドーパミンを下っ腹に届けてHSL(脂肪を溶かすホルモン)を活性化する必要があります。
その血流をよくする方法が『ウォーキング』です。
ウォーキングによって体内の血流が良くなることで、アドレナリンやドーパミンが下っ腹に届きやすくなるため、下っ腹の脂肪を燃やすHSL(脂肪を溶かすホルモン)を活性化できるという訳です。
③ウォーキングで脂肪エネルギーを消費する
HSL(脂肪を溶かすホルモン)が活性化することで、下っ腹の脂肪は『脂肪酸』という物質に分解され、体を動かすためのエネルギー源として消費できるようになります。
人間は、最大心拍数(220-年齢)の55〜65%程度の緩やかな運動を行う時に脂肪を燃料として活動します。
【参照:ジョンJ・レイティ/エリック・ヘイガーマン(2014)『脳を鍛えるには運動しかない!最新科学でわかった脳細胞の増やし方』NHK出版】
つまり、ウォーキングのような緩やかな運動を行うことによって、体内の脂肪(脂肪酸)を消費することができます。
下っ腹の脂肪が燃えるメカニズム
- プチ断食によってエネルギーが枯渇→アドレナリンやドーパミンが分泌されて、体内に残っているエネルギー源を利用しようとする
- ウォーキングによって血流が良くなる→アドレナリンやドーパミンが下っ腹に届いて、HSL(脂肪を溶かすホルモン)を活性化させる
- 下っ腹の脂肪が脂肪酸に分解されエネルギーとして消費できる状態になる→ウォーキング中に分解された脂肪酸がエネルギー源として消費される
以上のように、プチ断食とウォーキングを組み合わせることによって、燃えづらい下っ腹の脂肪を燃やすためのメカニズムのスイッチをONにできます。
このように、ただ有酸素運動をすれば脂肪が落ちていくというわけではないんですね。
本気で下っ腹の脂肪を落としたいという方は、ハードな運動をするのではなく、プチ断食×ウォーキング(緩やかな運動)のコンボに挑戦してみてください。
具体的にどのくらい歩けば良いのか?
ウォーキングをするに当たって『どのくらい歩けば良いのか』という具体的な指標があった方がスケジュールが立てやすいですよね。
そこで、運動初心者の方が目指すべき『歩く時間』と『歩くスピード』について解説します。
①歩く時間
ウォーキングの時間(1日)による健康効果は以下の通りです。
- 最低限の肉体維持:8分
- メンタルの落ち込み改善:10分
- 寿命を延ばす:20分
- 睡眠の質を改善:30分
- 認知機能の改善:40分
- 死亡率の低下:60分
【参照:鈴木祐(2021)『不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる』(株)かんき出版】
【参照:鈴木祐(2019)『新装版 一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』(株)扶桑社】
このように、1日に長く歩けば歩くほど健康効果は高まります。
後述しますが、睡眠の質の改善はダイエットにおいて必須要素なので、まず『20〜30分』程度のウォーキングから始めてみるのが良いと思います。
ウォーキングに慣れてきて、体力と時間に余裕が出てきたら『60分以上』を目指すと良いかもしれませんね。
②歩くスピード
ウォーキングの後の『心拍数』を計測して歩くスピードを調整してください。
目標とする心拍数は『最大心拍数の55〜65%』です。
最大心拍数とは、人間が『1分間に最大まで発揮できる心拍数』のことで、『220−年齢』で算出することができます。
例えば『30歳の運動初心者』の方であれば、
- 30歳の人の最大心拍数→『190』拍(220から30を引く)
- 190拍の55〜65%→『105〜124』拍
となるため、『ウォーキング終了後、1分間に105〜124拍まで心拍数が上がるくらいの早歩きを目指す』ということになります。
最大心拍数の55〜65%の範囲を超えていたらスピードを落とし、低ければスピードを速くする、といった感じで歩くスピードを調整してみてください。
午前中のウォーキングで寝不足を改善する
寝不足はダイエットの努力を無駄にしてしまう恐れがあるため、寝不足の改善はダイエット中の方にとっては必須要素になります(詳細は以下の記事を参照ください)。
そんな寝不足を改善する方法の1つが『午前中のウォーキング』です。
午前中のウォーキングが寝不足を改善する理由について解説していきます。
①体内時計をリセットする
人間が朝起きて夜眠くなるのは『体内時計』が正常に働いているおかげです。
体内時計とは、脳や体に存在する24時間単位の時計のことで、人間の1日の活動をコントロールしてくれています。
この体内時計が正常に働いていないと、夜になっても眠くならず『寝不足』の状態に陥ってしまいますが、体内時計が正常に働くためには、体内時計を毎日『リセット』しなければいけません。
なぜなら、人間の体内時計は平均24時間15分のリズムで動いているため、毎日リセットしないと1日15分ずつリズムがずれてしまうからです。
【参照:マシュー・ウォーカー(2018)『睡眠こそ最強の解決策である』SBクリエイティブ(株)】
そんな体内時計のリズムをリセットする方法の1つが『午前中に太陽光を浴びる』です。
午前中に太陽光を浴びることで、脳(視交叉上核という場所)が「朝だ!」と認識して体内時計をリセットしくれます。
したがって、午前中にウォーキングをすることで体内時計が正常に働くようになってくれて、『夜になれば眠くなる』というリズムを保つことができるという訳です。
逆に、夜のウォーキングは睡眠の質を下げてしまうので注意しましょう。
入眠前の2〜3時間以内に運動をすると、体の中核温度(体の表面ではなく内部の温度)が上がってしまい、それが原因で睡眠の質が下がってしまう恐れがあります。
【参照:マシュー・ウォーカー(2018)『睡眠こそ最強の解決策である』SBクリエイティブ(株)】
ウォーキングをする場合は朝や午前中のスケジュールに組み込み、寝不足の改善につなげてみてください。
②ストレス対策システムを鍛える
ストレスの大きい状態で眠りにつくと、浅い睡眠から深い睡眠への切り替えがうまくいかなくなります。
つまり、ストレス対策をしておかないと寝不足になってしまう可能性が高まるんですね。
そんなストレス対策としてウォーキングが一役買ってくれます。
ウォーキングなどの運動をすることで、『脳と体のつながり』が強化されて、人間のストレス対策システムを鍛えることができるます。
【参照:鈴木祐(2018)『最高の体調』(株)クロスメディア・パブリック】
逆にデスクワークなどで座り続ける時間が長くなってしまうと、それだけでストレスを抱えやすい体になってしまうという訳ですね。
ストレスで寝不足を感じているという方や日中座り続ける時間の長い方は、1日30分程度のウォーキングを取り入れてみると良いと思います。
以上のように、午前中のウォーキングを習慣にすることによって、ダイエットの天敵である寝不足を改善することができます。
午前中のウォーキングによって睡眠の質が上がれば、翌日の活力がUPしてウォーキングの運動効果もUPしていきます。
これを毎日継続していくことで、睡眠の質がUP→翌日の運動効果がUP→夜の睡眠の質がUP→翌日の運動効果がUP・・・という好循環をつくることができます。
この好循環はダイエットをしている方にとって、非常に嬉しいことではないでしょうか。
最後に
ダイエットを始めようと思い立った時は、誰しもが高いモチベーションを持っているため、ついハードな運動やトレーニングを始めようとしてしまいます。
ハードな運動やトレーニングが決して悪いわけではありませんが、モチベーションの低下に加えて、運動初心者の方の場合、ケガをしやすいというリスクも抱えています。
まずは、最大心拍数(220−年齢)の55〜65%程度のウォーキングからスタートして、運動を続けていくための基礎体力を養っていきましょう。
本記事で解説してきたウォーキングのダイエット効果は以下の3つです。
- 初心者の方でも続けやすい!
- プチ断食と合わせれば下っ腹の脂肪を燃やせる!
- 睡眠の質も上げられる!
以上の3つの効果を『メリットに感じた』という方は、運動習慣としてウォーキングを始めてみてはいかがでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございました!